更新日:2017年03月10日

焼き付け塗装

多くの塗料は、塗布する前は液体状であり、被塗物表面に塗布され、乾燥することで固化して塗装皮膜が作られる。
  この乾燥工程において、熱を加えることにより処理を行うことを焼き付け塗装と総称している。他の乾燥方法としては、自然乾燥のほか紫外線などで塗料の硬化を行う場合もある。
  有機溶剤と空気の反応で硬化を行う塗装に対し、焼き付け塗装は乾燥時間が短縮できるほか、密着性や耐候性に優れている特徴がある。反面、乾燥炉は被塗物により大型のものが必要となるため、設備が大がかりになる欠点がある。
  焼き付け塗装の最も知られた例としては、自動車ボディの塗装がある。自動車の場合、ボディ板金にプライマー、下地(サーフェーサ)、上塗り(カラー層、クリア層)など複数の塗装がなされるが、上塗りに使用されるアクリルエナメル塗料は熱硬化性の塗料であり、熱風乾燥炉による焼き付け工程を経て、光沢に優れ、硬度や耐薬品性を持つ塗膜を得る。
  このほかにフッ素樹脂系の塗料においても、耐熱性を持たせるため焼き付け塗装がよく用いられる。焼き付け塗装のうち、溶剤を使用せず粉末状の塗料を静電塗装する場合は、粉体焼き付け塗装と呼ばれる。 

焼き付け塗装

適している分野・使用事例

自動車ボディ(上塗り)、カメラなど光沢と硬度を要する塗装、エンジン回り、調理用品など耐熱性の塗装。