更新日:2017年04月21日

塑性加工

塑性加工とは、機械的力により材料を変形させ、力を取り除いた後も材料に変形が残る性質(塑性)を利用して、材料を所定の形状、寸法の製品に成形する手段をいう。
 塑性加工に属するものには、鍛造、金属プレス、圧延加工、押出加工、伸線加工、引き抜き加工、絞り加工などがあり、金属加工の重要な分野を占めている。
 金属材料は塑性加工を行うことにより、強度をはじめとした機械的性質が改善される。また、塑性加工は材料の無駄が少なく、加工速度が速いため、一般的にコストの点で切削加工より有利である。反面、製品の寸法精度においては切削加工の方が優れている。
 板、管、線材のように塑性加工でなければつくれないものもあるが、たとえば管の場合、圧延加工と押出し加工のどちらでも製造が可能であるように、同じ品物を別種の塑性加工で製造できる場合も多い。
 このように、塑性加工は同一形状、同一寸法製品の多量生産に適した手段であり、加工機械および使用工具の開発、改良によって高精度の製品を効率よく生産する手段として発展してきている。 

塑性加工の種類について
塑性加工の種類
方法
用途例
鍛造
工具・金型を用い、材料の一部または全体を圧縮・打撃を加え成形する。
材料の機械的性質が改善される。
ボルト・ナット、機械部品など。
金属プレス
一対以上の工具・金型を用い、機械力により金属材料に圧力を加え成形する。
金型の設計により折り・曲げ・切断・変形など多様な加工が同時に行える。
端子、バネ、金具など小物から自動車ボディ、建築金物など大型の製品まで幅広い。
押出・伸線・
引き抜き・磨き棒
主に線材をダイスに通し、ダイス出口側の形状に成形する。 ワイヤー類、金属棒・パイプ類のほか異形線など。
絞り加工 主に板材を、対になったパンチとダイによりくぼみを成形する。 キャップ類、灰皿、ボトルなど
曲げ加工 主に板材を、対になったパンチとダイによりV字、U字、L字などに曲げ成形する。 各種板バネ、ケース類など幅広い他、切断面の折り込み処理など
接合 対の材料をボルト、リベット、釘などを用いて、あるいは材料同士をカシメて機械的につなぎ合わせる。 カシメの例としては、金属缶の胴と蓋など
せん断 切れ刃を持つポンチとダイにより、主に板材を切断、あるいは穴抜きを行う。 端子、ピンなど小物から型抜きなど大型製品のほかロール材の細幅加工など

用語解説

機械的性質

引張強さ、降伏点、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さなど、機械的な変形及び破壊に関係する諸性質。

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