更新日:2017年04月26日

硬質クロムめっき

クロム(Cr、クローム)によるめっきは、耐候性に優れ大気に長期間さらされても光沢が保たれる。このため装飾めっきとして用いられる一方、一般的に行われる電気めっきの中ではビッカース硬度800~1000と最も高い硬度を持ち、耐摩耗性に優れるため、工具などの耐摩耗用めっきとしても広く用いられる。この耐摩耗性の向上を目的として行われる、比較的厚いクロムめっきを硬質クロムめっきと称し、JISでは工業用クロムめっきとしてめっき厚み別に規定されている。
  めっき処理物の素材としては炭素鋼やステンレス鋼など様々で、工具や金型、治具など摺動して使われる素材へ硬質クロムめっきを施すことにより、摩耗を防ぎ工具寿命を大きく伸ばすことができる。また硬質クロムめっき層が摩耗した際も再度めっきを施すことも可能なためコスト的にも利点が多く、生産現場では広く使われている。
  硬質クロムめっきでは、表面を微細な多孔質(ポーラス)とすることで、工作時の潤滑油保持を行うことを目的としたポーラスクロムめっきも工具・金型用めっきとして活用されている。 
 

硬質クロムめっき

適している分野・使用事例

工具、金型の耐摩耗性改善を目的としためっき。

用語解説

ビッカース硬度

正四角すいのダイヤモンド圧子を一定の試験荷重で試料の試験面に押込み、生じた永久くぼみの大きさから、試料の硬さを測定したもの。