更新日:2017年03月13日

精密加工・特殊加工

金属加工において、精密加工という場合は特に決められた精度を得る加工を指す訳ではなく、一般的な旋盤やプレス機において得られる精度よりも高い寸法精度や面粗さを得るための加工を指すものである。
 精密加工法としては、ホーニング、ラッピング、バフ仕上げ、ショットブラストなどがあり、いずれもが一次加工として切削加工や塑性加工を行った工作物をより精度良く仕上げる工程である。例えば切削加工は、刃物を使った除去加工であるため、加工面を微細に見た場合加工硬化を起こしている。また切削時に発生する加工熱の影響で、材料表面部の金属結晶が一様では無くなっている。対して上に挙げた精密加工では、微細な砥粒により僅かずつの除去加工を行うため、加工硬化が少なく、加工熱も少ないため金属組織も保たれる。加工精度要求がミクロン単位となってくるエレクトロニクス分野の金属加工では、こうした精密加工が不可欠のものとなる。
 特殊加工法とは、通常の切削・研削工程では加工困難な工作物に対して、機械力ではなく物理的・化学的なエネルギーを用いて加工を行うものを指し、放電加工、溶射、プラズマ加工、レーザ加工などがある。
 精密・特殊加工は近年のエレクトロニクス分野を中心とした、金属加工物に求められる性能・精度の要求の高まりによって、様々な方法が開発されている。今後も最先端加工技術として新たな加工方法が生み出されると予測されている。 

精密・特殊加工の種類
精密・特殊加工の種類
特徴
用途例
ホーニング
工作物の穴内面を、真円度の高い仕上げが行える。 シリンダー内面。
ラッピング
工作物の表面を、高い精度で研磨加工が行える。 精密、電子部品。
バフ仕上げ 工作物表面を、迅速に研磨できる。 光沢出し、めっき下地。
ショットブラスト 工作物表面を無光沢、梨地の仕上げとする。 バリ取り、無光沢仕上げ、めっき下地。
放電加工 アーク放電の熱により工作物を溶融して除去する加工。ワイヤ放電加工は硬度の高い材料を容易に加工できる。 金型など高硬度材料の加工。
溶射 溶融状態の金属材料を工作物に吹き付けて表面に金属膜を生成する。比較的厚い皮膜が金属以外の工作物にも付けられる。 エンジン内部などへの耐熱性コーティング、建築物への耐食性コーティング。
プラズマ加工 超高温のプラズマを用いて行う加工。プラズマは切断・穴開けなどのほか溶接や溶射にも利用される。 タングステンなど高融点材料の加工。
レーザ加工 レーザ光を用いて行う加工。加工精度が良く、複雑形状も切断可能。 板金加工、高精度品の少量加工。

用語解説

加工硬化

金属材料は加工により外力が加わると、その結晶中に多くの欠陥(転位)が発生する。この転位が絡み合ってすべりを起こさなくなると結果的に硬化が起こる。

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