更新日:2017年03月10日

ラッピング(研磨)

ラッピングは、ラップと呼ばれる平面の台上に工作物を置き、ラップと工作物下面間に、砥粒としてラップ剤を挟み、工作物に上から圧力を加え摺動させて行う研磨方法である。
 ラッピングでは、通常の研削工程に比べ加工能率は低いが、平滑な表面が得られるため仕上げ加工として用いられる。ラップ仕上げは操作が簡単で、精度の高い加工が可能であり、各種ゲージ類や軸受け用ローラ、電子部品などの加工に用いられる。

 ラップには組織が緻密な鋳鉄が良く用いられるが、鉛やすずなどの金属も軽合金工作物に対するラッピングでは使用されている。ラップ剤はダイヤモンド、炭化けい素、アルミナなどの砥粒である。

 ラップ剤に工作液を加えラップ加工を行う場合を湿式ラッピング、ラップにラップ剤を埋め込み加工する場合を乾式ラッピングがある。
 湿式ラッピングの場合、工作液は石油が一般的でこれに機械油などを加える場合もある。
 湿式ラッピングでは砥粒が工作液中を動きながら研磨を行うため、加工量が大きく熱の発生も小さい。しかし研磨面には不規則なラップ痕が残り、無光沢仕上げとなる。
 乾式ラッピングは、ラップに埋め込まれた砥粒が工作物に対し滑りながら研磨を行うので、加工量は少ないが光沢のある仕上げとなる。 

ラッピング(研磨)の様子を図示した写真

適している分野・使用事例

面粗さ、精度を要求される平面の研磨。

用語解説

鋳鉄

炭素を2%以上含む、鉄-炭素系合金。ケイ素、マンガン、りん、硫黄を含み、流れ性が良いため鋳造に用いられる。

アルミナ

酸化アルミニウム(Al203)。ビッカース硬さがHV2000程度と高く、研削砥石の砥粒のほか工具へのコーティング材としても用いられる。