更新日:2017年04月26日

レーザ加工

レーザ光は位相のそろった(コヒーレント)な、単一波長の光で、拡散しないため、適当なレンズを用いて集束すると極めて小さな集束点が得られる。その際のエネルギー量はおよそ10×6乗から10×8乗W/cm2と極めて高く、これを金属加工に用いると高融点材料や高硬度材料の加工も可能となる。
  レーザ加工の特徴としては、非接触の加工であるため、工作物への負荷がなく、薄板やゴム材料の加工も可能であること、ワイヤ放電加工に比べ加工速度が速いこと、レーザの焦点距離をレンズにより可変できるため、一つの機械で穴開け、切断から溶接といった複数の加工ができ、金型が不要であるため多品種少量に向くことなどが挙げられる。
  反面、レーザ加工ではその特性から工作物を貫通する加工が主であり、工作物表裏でのエネルギー密度が異なるため裏面では切断溝幅が増し、仕上げ面粗さも異なる。
  現在、産業用に広く利用されているレーザは、炭酸ガスレーザとイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザの2種類がある。
  炭酸ガスレーザは、セラミックス、ガラス、プラスチックなどへの吸収が優れているので、切断、溶接、穴開け、表面改質に用いられる。加工精度はよく、金型を使用せずに複雑な形状でも切断できるので、板金加工メーカーで多く用いられる。
  YAGレーザは、材料に対する選択性がよいので、トリミング(薄膜抵抗の一部除去)、スクライビング(ICチップの溝切り分離)、マスクリぺアリング(露光用マスクの欠陥修正)、マーキングなど、半導体関連の電子部品加工に広く利用される。また、光ファイバーが使用できるので、狭い箇所や離れた箇所でも使用できる利点がある。 

レーザ加工

適している分野・使用事例

試作品など多品種少量の加工。薄板、非金属など柔らかい素材の加工。