更新日:2017年03月17日

プラズマ加工

物質は高温になるに従って固体、液体、気体とその相を変えるが、気体がさらに超高温になると、気体原子は自由電子とイオンに分離し、電離気体となる。この状態をプラズマといい、気体の状態とはまた異なった特徴的な性質を示す。
  プラズマは電極間に不活性ガスを流し、放電することによって得られる。プラズマは理論的には温度上限がなく、プラズマ加工として実用化されている温度も1万数千度に達している。この超高温の加工熱により切断、穴開け、溶接などが可能であり、タングステン合金など高融点材料の加工方法として利用が進んでいる。
  プラズマ溶接では、拘束ノズル内にアルゴンなどの作動ガスを流し、導電性の工作物とノズル内陰極との間にプラズマアークを発生させるプラズマアーク溶接、同じくアルゴンなどを作動ガスとし、タングステンなどの陰極と銅などの陽極間にプラズマアークを発生させノズルから高温のプラズマを吹き出して加工するプラズマジェット溶接の二方式がある。プラズマジェットでは絶縁性の工作物も加工できるが、陽極を水冷する必要がある。プラズマ溶接はエネルギー密度が高く、ティグ溶接と比較して溶け込みが深い、アーク指向性が高いなどの特徴がある。
  作動ガスの温度はいずれも1万数千度に達し、これを利用して溶断する場合もある。(プラズマ切断)。
  また、プラズマジェットに粉末状の溶射材料を投入すると、高温・高速での溶射が行える。この加工方法をプラズマ溶射といい、高融点材料の溶射に利用される。
  プラズマの熱ではなく、化学的な特徴を利用した加工には、プラズマエッチングと呼ばれる、気体分子がプラズマ化した雰囲気中で物質の表面をエッチングする方法がある。利用される気体は酸素や窒素などで、これをプラズマ化した雰囲気中で処理された面は化学的に活性化され、付着性能が向上するので、半導体生産におけるシリコン基板の下地処理をはじめ、プラスチックの塗装、印刷面、接着面などの前処理に応用されている。 

プラズマ加工

適している分野・使用事例

プラズマ加工

タングステンなど高融点素材の加工。

プラズマ溶接

ステンレス鋼や非鉄金属の高能率溶接。

用語解説

高融点材料

タングステンの融点は摂氏3400度であり、主要金属である鉄(1540度)やチタン(1670度)に比べ極めて高い。