更新日:2017年03月17日

ショットブラスト

特殊加工の一種として、砥粒を工作物に吹き付けて加工する方法を総称してショットブラストという。
  サンドブラスト(sand blast)は、圧縮空気に砥粒として砂粒を混合して吹き付け、工作物表面を研磨するもので、当初は鋳物表面の酸化物除去あるいは鋳物のバリ取りとして使われた。サンドブラストを行うと、表面は無光沢、梨地の仕上げとなる。しかし現在では砂に代わって金属粒子(ショット)が用いられるようになり、その目的もスケール除去、塗装・めっき面の下地加工、工作物のバリ取り、工具など金属表面の梨地仕上げ加工、あるいは宝石やガラス面の加工などへと広がっている。サンドブラストと呼ばれている場合も、現在砥粒に砂はほとんど使われないので、サンドブラストとショットブラストは同義に使用されている。
  金属粒を硬球とし、角の無い球を吹き付け仕上げる加工をショットピーニング(shot peening)といい、スケール除去に用いられるほか、ショットピーニングでは非常に細かい粒子によって冷間鍛造を行うのと同じ原理が働き、工作物表面が大きな衝撃力を受け加工硬化を起こし、表面に圧縮残留応力が発生して疲労強度の耐性が上がる。同時に表面も仕上がるためバネ類やシャフトなど繰り返し加重を受ける部品に良く使用される。ショットピーニングでは圧縮空気に代わり、羽根車などを使用して機械的に硬球を噴出させる方法もとられることがある。
  疲労強度の耐性をより求める場合には、工作物が使用中に受けるのと同じ状態の応力を与えながらショットピーニング処理を行う、ストレスピーニングが用いられる。 

ショットブラスト

適している分野・使用事例

サンドブラスト

バリ取り、スケール除去、無光沢仕上げ、ガラスへの模様付け。

ショットピーニング

バネ類、シャフト類の疲労強度耐性の向上。

用語解説

加工硬化

金属材料は加工により外力が加わると、その結晶中に多くの欠陥(転位)が発生する。この転位が絡み合ってすべりを起こさなくなると結果的に硬化が起こる。

残留応力

外力又は熱勾配が無い状態で、金属内部に残っている応力。溶接時には材料部分の冷却速度の差により内部応力が残留する。熱処理、冷間加工、鋳造などによっても残留応力を生じる。

疲労強度

疲れ強さ。金属は繰り返し荷重により生じる応力が降伏点よりかなり小さい場合でも疲労によって破壊することがしばしばある。