更新日:2017年03月10日

エッチング

エッチングとは、金属の表面や形状を、化学的あるいは電気化学的に溶解除去し、それを表面処理を含めた広義の加工技術とすることである。エッチングはすなわち化学加工の一種であり、主に金属表面に希望のパターン形状を得るために行われる。
  エッチングの代表的な例としては電子回路のパターン製造がある。ベークライトやグラスファイバー板の表面に銅箔を張ったプリント基板上に、回路部分をマスキングして強酸のエッチング液に浸けると、銅箔のマスキングされていない部分はエッチング液の化学作用により溶け、マスキングされた部分が銅回路として残る。
  LSI(集積回路)など回路パターンが微細なものは、シリコンやガラス基板の上に蒸着などで生成された金属薄膜上に、フォトレジストと呼ばれる感光性の樹脂を塗布し、これに回路パターンを感光させる。フォトレジストは感光後現像することで、感光した部分を残し回路形状が得られるので、これをエッチング液で処理することによりフォトレジストの無い部分は溶け、回路が得られる。ブラウン管のシャドウマスクなども同様に、ステンレス薄板などをエッチング処理して作られる。こうしたエッチング方法をフォトエッチングと呼ぶ。
  水溶液中の化学反応の代わりに、ガス(気相)中の反応を利用して行う場合はドライエッチングと呼ばれる。また、材料表面の微細な凹凸を凸部のみ選択的に溶解して表面を滑らかにする場合、化学研磨(chemical polishing)と称するが、技術的にはエッチングと同様である。3次元的な加工形状を求めてエッチングを行う場合は、ケミカルミリングという場合もある。
  エッチングでは金属プレスや板金加工では困難な、薄板の加工や微細なパターン加工、高硬度の材料の加工も可能であり、力学的な加工応力も発生しないため軟らかい材料も加工できる。反面、エッチング液による溶解作用によって加工を行うため、板厚が増すとマスキング部より浸食が起こり、加工精度が低くなる。
  このほか装飾用を目的に、ステンレスや銅板の表面にシルク印刷を行い、その上からエッチング液で浸食させて模様を付ける場合もある。 

エッチング

適している分野・使用事例

電子分野

電子回路、半導体パターン、シャドウマスク。

ドライエッチング

平滑な光沢面。

装飾用

金属製ドア・エレベータ表面への装飾。