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serupura
東大阪市柏田本町2−4
interview


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電子基板とチップ部品

 モノづくりのまち「東大阪市」にまた新たな注目企業が登場した。 東大阪市ならではの、豊かなモノづくり精神が育てた企業の名は「ミレニアムゲートテクノロジー」。
 同社は家業のめっき技術から生み出された画期的な表面処理技術により、電機分野から医療分野まで幅広い分野での活躍が期待される注目企業だ。
 同社のもつ画期的な技術のひとつが「理想の無電解金めっきプロセス」である。
 電子基板の高密度化に対応する、新しいめっきプロセスであり、無電解金めっきの下地めっきに「錫(Sn)」を使用するという、従来は不可能と言われたこの技術によって、ミレニアムゲートテクノロジーは開発型企業への脱皮に成功したのだ。
 そしてバイオ分野への参入。一見畑違いのこの分野でも、同社はめっき技術を応用し世界に先駆けた開発を行った。
 今回はミレニアムゲートテクノロジーが、一般にローテクのイメージがあるめっき技術を、 どのようにしてハイテク製品になくてはならぬ技術に昇華させたのかを探ってみたい。


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takeuti
武内社長

 ミレニアムゲートテクノロジーは武内氏が代表を務める(有)近畿明和産業が母体となって1999年12月に設立された新しい会社だ。
 めっき業は典型的な受注型産業で、メーカーから発注される仕様書通りに進めるというのが一般的であるが、めっき業を営む(有)近畿明和産業を父親から受け継いだ武内氏は、たとえメーカーから指示されている手法よりも優れた方法があっても、 仕様書どおりの製作しかできないことをもどかしく感じていた。
 このもどかしさはめっきに対する知識が深まるごとに増し、仕様書通りの仕事を待つのではなく、製品の開発から関わり、 自社が持つ技術を活かせる企業、即ち開発型の企業になりたい、という気持ちが大きくなった。
 しかし、開発型企業への転身を図るといっても、一朝一夕に出来ることではない。
 武内氏が最初に行ったのは情報収集である。「情報収集にも人ありき」と考えた武内氏は人脈づくりに励んだ。 東大阪市という立地はその点で非常に役立った。 同業者間の情報交換や盛んな異業種交流、そして公的機関が主催する講演会やセミナーなどを通じ、新しい人脈を築いていった。
 また、情報を発信しないことには、情報は集まらない、それもただ発信するのではなく、発信する内容にインパクトがなければ発信する意味がない、という考えから自社の強みであるめっき技術を発展させながら、積極的な情報発信を行った。
 特に毎年東京で行われている表面処理総合展には4年間出展を続け、そこで同社は当時めっきが難しいとされていたチタンへのめっき技術を出典することにより、ユーザーの注目を集めることに成功し、大手メーカーからも開発依頼が来るようになったのだ。
 こうして多くの顧客から「武内さんに相談するとおもしろいアイデアがあるかも知れない」という信頼を勝ち取ったことにより、 表面処理のアドバイザー的な役割を担うことに成功した。
 この時点で同社は開発型企業へと生まれ変わったのである。


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下地めっきによる
はんだ付けの違い

  携帯電話やパソコンなど電子機器の軽薄短小化、高機能化が日進月歩で進んでいる。 自社のめっき技術に自信を持っていた武内社長は、表面処理技術を先鋭化することによってハイテク開発に応用できる素地があるとにらんだ。
 電子機器のプリント基板に行われる金めっきの構成は、銅箔(Cu)の上に無電解ニッケル(Ni)めっきを行い、 その上に無電解金めっきを施しているのが一般的だ。 しかしこの場合、プリント基板に部品を実装する際のはんだ付けに問題が潜んでいる。 一見良好に行われたように見える金めっきへのはんだ付けでも、実際は金めっき層がハンダの中に溶け込んでしまっており、はんだは金めっき層の下にあるニッケルめっき層に付いてしまっているのだ。 はんだとニッケルは相性が悪く、そのためにはんだ付けの信頼性は低くなり、ちょっとした衝撃ではんだ付け部分がはがれてしまう原因となっている。
 この問題に対して、セットメーカーはニッケル層の改良を行うことで対応していた。 しかし、金属の特性としてはんだとニッケルの相性が悪いことには変わりがなく、根本的な解決とまでは至っていなかった。
 一方で、はんだ自身にもある問題が提起されていた。 環境問題が声高に叫ばれるようになると、はんだに含まれる「鉛」が問題となり、世界的に 「鉛フリーはんだ」への流れが脚光を浴びだしたのだ。 はんだから鉛を除くとさらにはんだ付けの密着度が下がり、高密度化、高実装化が進むIT関連の電子基板では大きな問題となっていた。


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04

  こうしたハンダ付け不良の問題に対し、対症療法では解決しないと考えた武内社長は、電子基板に行うニッケルめっきを他の金属へと変える試みを開始した。 確実な接合に向けた、新しいめっきプロセスの開発である。
 この解決にミレニアムゲートテクノロジーが利用した金属は「錫(Sn)」である。
 従来、錫は無電解金めっきにおける触媒毒とされ、錫の上に無電解金めっきを行うことは不可能とされてきた。
 しかし錫ははんだとの相性が非常に良く、錫の欠点とされるウイスカー発生等の問題点を、金めっきを行うことで解消すれば、理想の無電解めっきプロセスができるはずだ。 同社が長年培った表面処理の基礎技術、応用技術を駆使し、様々な実験を繰り返した。
 困難な課題であったが、同社にはかつて困難とされていた、チタンのめっきを開発してきた経験がある。 同社にはそうした常識を覆す技術開発に成功した経験から、固定観念にとらわれない社風が育っていた。
 そしてついに独自に開発した薬剤を使い、下地めっきに錫を採用した無電解金めっきプロセスの開発に成功した。
 2000年、夏のことだった。


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05

  話は前後するが、めっき技術を高く評価されていた(有)近畿明和産業は、もうひとつ業界をあっといわせる開発に成功している。
 DNAチップの開発である。
 すでに同社では、ある医療機器メーカーらの依頼により、めっき技術を応用したPCR(DNA増幅装置)部品の開発に成功していた。
 PCR部品を開発中の98年、東大阪市経済部が企画した交流会で国立奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)の講演を聞く機会を得た。 そこで同大学に遺伝子分野で最先端を行く教授がいると聞き、紹介を受けて訪れたのが松原研究室であった。
 そこでDNAチップという新しい分野に出会った武内氏は、めっき技術をDNAチップ開発に応用できるのではないかと考えた。
 めっきには絶対の自信がある。しかしバイオとなると専門外の知識が含まれる。 その専門知識を導入するため、松原研究室の助けを得た。 明確な開発テーマと自社技術への絶対の自信、そして残りのわからないところを専門家に相談するというスタンスで協力を仰いだ。
 松原研究室では的場助手と知り合うことができ、 なんと的場助手本人がミレニアムゲートテクノロジーへの参加という思いがけない形での助力を得るという望外の推進力も得た。
 バイオベンチャーとしての新しい取り組みに力強い助っ人を得、今後さらなる開発が進むと期待が膨らむ。
 武内社長は「めっきは基幹産業であり、めっき無しで今のハイテク、IT関連の製品や半導体、自動車などは成り立たない」と考えており、 自社の使命とするめっきプロセス(製造工程)の開発についても、めっきを使った技術分野の応用が異分野であってもかまわない、むしろ人々を幸せにする技術であれば持てる技術で貢献していきたい、という意識を強く持っている。 こういった武内社長の意欲的な取り組み姿勢がバイオ参入にプラスに働いたのであろう。


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06

 2000年はIT革命が産業界を駆けめぐった1年であった。 その中にあっても、同社は東大阪市のモノづくり企業としてのアイデンティティをしっかりと持っていた。 武内社長によれば「ITはツールでしかない、結局はモノづくりが大事」という。 実際、氏は以前からインターネットや電子メールを活用している。 その一方で、たとえ遠方であっても「ビジネスに際しては直接訪問する」という姿勢を持っている。 人と人とのつながりを大切に思うからだという。
 ミレニアムゲートテクノロジーは、めっきを基本とした「つなぐ技術」を基本に様々な分野からのニーズに応えていこうとしている。 現在は好調なチタンめっきなどの特殊めっきをベースに、バイオ産業への足がかりを築こうとしている。
 今後は将来の株式上場を念頭に、現在は受託加工を行っている近畿明和産業、チタンの技術開発を行っている理研プレテックスを吸収し、ミレニアムゲートテクノロジー1社に統合する予定である。
 自社の技術を磨き、専門知識や経験が必要であれば外部との協力や人材を積極的に受け入れる。 ミレニアムゲートテクノロジーは旺盛な知識欲とモノづくりへのチャレンジ精神に支えられた企業だと言える。


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