更新日:2017年03月06日

デザインプロジェクトとは

デザインプロジェクトに取り組む背景

近年のグローバル経済の競争下においては、これまで日本で行っていたモノづくりの一部が経済成長の著しい新興国等へと流れていき、国内産業が一段と空洞化していくとが懸念され、下請けの仕事は減少していくことが予想されます。下請け体制からの脱却を図っていくための方策のひとつに、自ら自社製品をつくってことが考えられ、競争力を備えた製品づくりを行うために効果的に製品開発・改良を行うことが必要となります。

そこで、東大阪市では世界で高く評価されているデザインという資源に着目して本市企業の技術力と融合させていくことで、オリジナル製品を世界にいち早く送り出していくことを目的として、世界で認められる製品のデザインを数多く手がけた工業デザイナー喜多俊之氏に「東大阪市デザインクリエイティブアドバイザー」として協力をお願いし、付加価値の高い製品づくりを加速させていきたいと考えました。

そのため、実際に競争する世界の市場におけるデザインという資源の役割や効果、また、競争をしていくことになる世界各国の取組みや海外企業の取組みを理解するセミナーを開催しています。また、実際に競争していくことになる市内企業がつくる製品についても、工業デザイナーから直接デザインという資源を融合していくアドバイスを実施していくことを通じて、世界から必要とされる競争力の高い製品を生み出していくための取組を行っています。

デザインプロジェクトの目標

東大阪市には技術力に特徴を有する企業が多いだけではなく、大手企業の系列関係にない企業が非常に多く、他社との差別化を図ってきたモノづくりに対するチャレンジ精神が旺盛な地域です。

人と調和することを求めたインダストリアルデザインは、産業界の活気を引き出すことに寄与してきました。デザインという付加価値は、ニーズ・素材・品質・機能・価格・安全・エコロジー・流通などを総合的に整えていくことで実現される概念で、総合的にまとめ上げていくことで生み出されます。

市内企業の技術力やチャレンジ精神は、デザインとうまく組み合わされていくことで増幅し、まだ誰も取組んだことのない製品をいち早く市場に送り出していくことが可能になります。東大阪市は他都市に先駆けて製品のデザイン性を高めるという取組に成功した都市となることを目指して、今、一歩ずつ着実に歩みを始めています。

これらの取組みを通じて、日本有数の産業集積地のポテンシャルを発揮して数多くのデザイン製品をいち早く世界のマーケットに届けていくことを目指しています。

デザインに関する海外市場の動向

デザインの新時代

日本にデザインが海外から入ってきたときは、意匠という言葉で訳されていたのが、アジアや世界のほとんどの国々はデザインを設計そして資源として捉えている。
デザインは、設計、機能、品質、経済性等、複数の要素などを総合的にまとめていくことである。
本市が2010年から実施しているデザインセミナーで、講師の喜多俊之デザインクリエイティブアドバイザーから、デザインは製品の外観だけでなくマーケットニーズ・素材・コスト・品質・機能・安全性・使い勝手・パッケージング・プロモーション・販売方法などトータルにとらえて指導を受けている。

デザインで競争力を高める企業

商品開発は技術開発だけに偏りがちであるが、欧米や中国などではデザインが技術開発と並ぶ位置づけにあり、家電で日本企業を凌ぐ成長を遂げようとしている。
その中で早くからデザイン資源を取り入れて世界に出たのがイタリアである。今までに無いオリジナル製品をつくり、小規模企業からスタートして、世界に名立たるブランドに成長した企業が多い。

流通とブランド戦略

デザイン性を高めることでヒット商品を生み出すデザインは、使い手を意識する事が大切であると同時に、つくることと流通はワンセットであり、開発の後の消費者に届ける総合的なところまでが重要。つくった商品をしっかりと発信していく事も、大切な作業である。

経営に役立つデザイン戦略

アイデアが大事で、競争相手や市場を知らないと前に進めない。ブランドで成功した企業は、経営戦略にブランドづくり、イメージづくりを取り入れている。販売戦略を含めたデザイン戦略が必要で、そういう総合的な視点が次のヒット商品を生む。
設計+αの考え方が必要で、デザイン戦略を経営戦略の1つと見る意識を持つ事が重要である。

求められるこれからの取組

自己ブランドを高めるためには、世界の最先端の見本市などの現場を見に行くことが必要で、どのようにすれば大きな市場に製品を出していけるのかを研究していくのも一つの方法である。
現地を見て自分で見本市に出し、今つくっている製品が現地で通用するか、反応も見ながら確認しつつ、現地とのネットワークも築いてチャンスをつくっていかなければならない。