更新日:2017年03月10日

絞り加工

金属板をプレス機により変形加工すると、継ぎ目の無いくぼみを持つ製品が得られる。このくぼみを得る加工を絞り加工と呼ぶ。
深絞り加工は、たとえば、円板からコップ状の底付き円筒容器をつくる場合のように、所定の輪郭形状に剪断した平板素材を、ダイスおよびポンチとよばれるメス・オス一対の金型を用いて成形する作業である。深絞りと似た加工で、平板素材から、つばのついた帽子のように平面から曲面が張り出した形の容器を成形するのが張出し加工である。張出し加工はメス型なし、オス型のみでも可能であるが、製品曲面部の板厚は素材より薄くなり、ついには破断するので、深絞りほど深い容器の成形はできない。一般に、たとえば自動車のボディーのような複雑な曲面形の成形加工は、深絞り成形と張出し成形が複合されたプレス加工である。
へら絞り加工(spinning)は、円板素材から回転対称形の容器をつくる作業であり、ろくろ台に粘土をのせて回転しながら壺を成形するのと同じ原理の作業である。ただし、スピニング機の回転軸は通常の場合水平となっている。そして製品容器の内面形状にあわせた成形型を用い、その端面に素材円板を取り付けて回転させ、円板の外面側からロールによって圧力をかけ、素材を一部分ずつ塑性変形させ、成形型になじませていくのである。ロールではなく、へらを用いて成形することもあるので、へら絞りと呼ばれる。この加工法では、ダイスとポンチによる深絞りでは作れない、たとえば水筒のように口がすぼまった容器の製造も可能である。 

絞り加工の工程を示した画像

適している分野・使用事例

キャップ類、ボトル容器、アルミ缶、灰皿など。